「きつ〜い思い出(長編)」
あれは思い出したもくない大学受験当日のことです。
極度の緊張の中、駅から受験校に向かっていました。
多くの受験生の行列と足並みをそろえながら歩いている途中、急にお腹が痛くなりました。
もともとよく腹が痛くなる体質なので、きっとすぐおさまるだろうと自分に言い聞かせ、動揺しないように努めていました。
「んんんんんん・・・これはひょっとすると結構やばいかもしれないぞ!?」
治る気配は全くなく、それどころかどんどん痛くなっていくんです。
地図を頭で考え、このまま会場まで行くか駅に戻るかを迷いました。
「まだ駅の方が近いし、駅のトイレの場所はわかっている。でも一旦戻って駅でしてたら急いでも20分のロスだな・・・。遅刻ぎりぎりか・・・。大学のトイレの場所は把握してないけどきっとたくさんあるから大丈夫だろう。なら大学でゆっくりやった方が体と精神にもやさしいな。よし、根性で大学まで走ろう!!」
かなり不自然なフォームになりつつも、およそ10km/hで走りはじめました。
一向に痛みはおさまらず、激しさをますばかりです。
「ちくしょう、よりによってこんな日に腹痛かよ!てかたぶん精神的なものだな。くそ負けてたまるか!!ピンチはチャンス!!よく分からんがスムーズにトイレに行くシュミレーションだけはしておこう。」
一生懸命走ってなんとか会場退入り口に着くと、大勢の受験生で初詣みたいになっています☆
けどかまわず人混みをかき分け門をくぐると、係の人が「君、押さないで!」って怒ってきました。
これは好都合とばかり「腹が、すごく痛いんです・・・。」
端的に事情をその係の人に告げると、あまりにも顔色が悪かったのでしょう、その人も深刻な表情にかわり、トイレまで案内してくれました。
「そこの奥が一番ちかいトイレです!がんばるんだよ!!」(何をだ??)
あまりの痛さに額には脂汗、喉はカラカラ、指先には血が巡らず冷たくなる始末。
しかしもう安心です。
「やっと楽になれる・・・。」
そう思いトイレに入りました。
「エ——ーーー!!」
我が目を疑いました。
そこには同じく腹痛に苦しみ順番を待っている人が・・・。
しかも二人。
急いで気持ちを切り替え肛門に力を集中し直しました。
これは時間かかりそうだと思いましたが、他のトイレを探しにいく気力はもうありませんでした。
「待てよ、4つもあるのにこれ全部人入ってるのかな?」
一応念のため端からノックしていきました。
一つ目をノックすると、中から「うううぅぅ〜〜。」(苦しさアピールすんじゃねーよな!逆にうっとうしいわ!!)
二つ目ノックすると中から「ドンドン!!」(逆切れかよオイ!!腹いたくなかったら殴ってやんぞコノヤロ〜!!)
三つ目ノックすると中から「すいません。もう少し・・・。」(なにがもう少しだ!第一波は過ぎたんだろうが〜!!まだ出尽くしてなくてもローテーションしろよな!!第一波出てないオレらの身にもなれアホ〜!!)
そして四つ目、「コンコン・・・」
し〜〜〜〜ん。
「あれ!?ここ誰もいないんじゃない?鍵もかかってないし・・・。」
おそるおそる開けてみました。
しかし見て絶望感に襲われるのでした。
中にあったのは愛しの便器ではなく、バケツ、ほうき、ブラシ、ホース・・・。
掃除用具入れでした。
「は〜〜〜。」
あきらめて振り返ると、前に並んでたやつのひとりが「オレもそれ、やったよ・・・」的な目でオレ見てます。(クソが)
とその時、二番目と三番目がほぼ同時に出てきました!
「なんだこいつら、出づらくなってタイミングはかったように同時に出てきやがって、小せえやつらだな・・・。とは言え、二つ同時に空いたのはラッキーだ。」(思考能力が著しく低くなってますオレ)
オレの前の二人に『できるだけ早く出てこいよオーラ』を出し、見送りました。
後ろから突然「ハァ、ハァ、・・・」と次の腹痛君が入ってきました。(みんな腹弱いな〜)
そいつはオレが順番待ちで並んでるという状況を把握できないくらい焦ってて、端からドアを開けにいきました。
気の毒だけどまぁすぐ状況も分かるだろうとそのままにしておきました。
ひとしきりオレの行動を再現し、そいつも例の四つ目(掃除用具箱)を開けてがく然。
あ、それやりますよね〜〜。けど残念でした〜。て顔でオレもそいつを見てやりましたよ。
その時、オレの前のやつが意外に早く手で腹を抑えながら出てきました。
「どうぞ〜。」
おぉ、なんて優しいんだ。
そうか第一波だけ処理してローテーションしてくれたんだ☆(紳士だな〜)
今度こそ楽になれるんだと思いトイレに入りました。
「くっっ、くせえ!!!!」(それは尋常じゃないくささ)
考えてみれば、今日ここで何人が受験生が吸収し損ねた汚物を置いていったのだろう。
10・・・20・・・いや、もっとか・・・。
え〜、かくして最悪の事態は免れたのですが、この日の出来事はオレのワースト3に入るきつい思いでであり、またベスト3に入る笑えるネタとなって語り継がれていくのでした。

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