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「チャリ85kmとサラリーマン風の男性」

ある日サイクリングをした時。

06.11.13.jpg

オレはチャリンコ大好きなわけだけど、ある日の夜、10時頃ふらっとチャリンコに乗った。

天気がよく星も見えて気持ちが良かったので、その辺を一周してこようなんて思って川越街道を北東の方角にひた走っていた。


どれくらい走っただろう、行き止まりでもあれば折り返しのきっかけになるんだろうけど、ひたすら道が続いてるもんだからとうとう川越まで着いてしまった☆
ここまで約35km。(ちょっとびっくり)

かなり走ったからそろそろ戻らないとなんて思ってるんだけど、でも、道はまだ続いてる・・・。
なんか、もったいないと言うか、悔しいと言うか。

もう12時をまわってたし、次の日も仕事があったので帰るべきなのは分かってるんですよね。

でも、道は続いている・・・。


で、走りつづけました。笑


それからさらに2時間くらい進むと、いよいよ人気がなくなって、周りはどんどん暗くなり、道路もたまにトラックが通るくらい。

  

ふと気付くとだだっ広い星空の下、ひとりぼっち。。


  

無性に叫びたくなる。


  

「ああ〜〜!     ・・・・・・・・・。」


  

周りには誰もいないのに、なぜかやたら恥かしくなって途中から声が出ない。。

本当はもっと出るだろ?大声出してみろよ!←悪テツオウの声


  

「うおわああああああああああ〜〜〜〜〜〜!!!!!!」

  


今度は思いっきり叫んでみた。

あまりに広いその暗闇の空間の中では、オレのmaxの大声でもとても小さいものに感じる。


「な〜んだ、ぜんぜん大丈夫じゃん☆」(これも大声)


ここで、なんとも不運。
後輪がパンク。

え!?帰りどうするんだよ??
でも、もうなぜかそんな事どうでもいいくらい気持ちが良かった。

無理矢理こいだら、それなりにスピードは出た。(後輪はガリガリ言ってる)

ここからはもうやりたい放題で♪
チャリをこぎながら、ふだん街中では言えないような大声、奇声をあげまくって楽しみました♪

 

「しっかし、きもっちいーーなーーーーー!!
   ワーーーーーオ!!ワオッ、バカヤローーーーー!!」


「パンク??知るかーーーー!!ダーーーーーッ、ワオ!!!」(アホなのか?)


気ままな奇声はエスカレートし、もはや野犬みたいになってた時、いきなり横に動くものが!!

近くにくるまで暗くて全然気付かなかったけど、それは歩道を歩くサラリーマン風の男性でした。


は・・・恥かしい・・・☆


かなり酔っぱらっている様子。

この時だいたい時刻午前2時半。


男性「お兄さん、後ろパンクしてるじゃない!?」


オレ「え?・・・はい、そうなんです。でもコレけっこう進みますよ?笑」


男性「お兄さん、どこまで行くの?」


オレ「ん〜、この先、自転車屋さんがあるところまでですかね。」


男性「自転車屋か・・・それじゃ寄居まで行かなきゃな。」


オレ「それあとどのくらいですか?」


男性「ん〜あと10kmくらいかな。それだとちょっと時間かかると思うよ。ところでどっから来たの?」


オレ「池袋です。」


男性「池袋!?こっから70kmくらいあるじゃない!!そんな遠くから・・・頑張るね〜☆」


オレ「ハハ、ここまで5時間くらいかかりました。ところでどちらに行かれるんですか?」


男性「いや〜、会社帰りに飲んでさ、酔っぱらっちゃって電車で寝過ごしてさ、終点で起きてそれからちんたら歩いてるんだけど、もう2時間近くたっちゃった(笑)。この辺は一駅が長いんだよね。でもあと15分くらいで着くよ。よかったら空気入れ貸してあげようか?空気入れれば、10kmくらい普通に走れるんじゃない?」


んなバカな・・・。
後輪チューブもうボロボロですよ。

でもとても感じのいい人だったので、このまま話ながら少し歩くのも悪くないかもなんて思ってとりあえず家まで一緒に行くことにした。


道中、彼は色々な話をしてくれた。

娘が3人いて3人目が生まれて間もないこと。

マイホームにようやく住めるようになったこと。

学生時代は池袋でよく遊んだこと。

25才の時に高校の同級生と夜、母校のプールに侵入して裸で遊んだこと・・・。笑


とても楽しく話していた時、ふと男性は口数を減らした。

  
しばらくの沈黙・・・。

そして次の彼のセリフにオレはど肝を抜かれた☆


男性「と・・・ところでさ、どうして君と歩いてるんだっけ??」


オレ「・・・え?」


そう、彼はオレに話しかけた時は相当に酔っぱらっていたんだけど、話しながら歩いている内に徐々に酒が抜けてきたのだった。

そして、どうやら今までの記憶がとんでしまっているらしく、オレの方をチラチラ見て状況を把握しようとしてるのだ。


男性「失礼だけど、君、どちら様でしたか?」


オレ「え、さっき会ったばかりで、空気入れを貸してあげるから一緒に家まで行こうって言ってくれたじゃないですか。」


男性「あ、あ〜そうだった、そうだった・・・。」(明きらかに思い出せていない感じ)


彼は酒が抜けるにつれ、オレに対して恐怖感を抱き始めている様に見えた。
記憶がなくてこの状況なら恐くなって当然なのかも。笑

オレは彼の心中を悟り、安心させるためにもう一度彼と打ち解ける決意をした。


彼は今まで話してたこともほとんど覚えてないみたいで、マイホームのこと、3人の娘さんのこと、夜中のプールのこと・・・、彼の話してくれたことを今度はオレが彼に話した。

彼はとても驚いてオレが話す毎に、「え〜、僕そんなことも言ったっけ〜??笑」と言って楽しんでくれた。


考えてみれば、彼の立場からすれば相当面白い体験だと思う。

酒を飲んで、途中記憶が飛び、気付くと暗い道を知らない兄ちゃんと一緒に歩いている。
そしてなぜかその兄ちゃんが自分のプライベートな話を知っていて、近況から青春時代まで丁寧に話てくれる・・・。(世にも奇妙な物語みたいだ)


その後再び楽しく話すまでになり、シラフの彼と改めて仲良くなった頃、彼の家に着いた。
彼はちょっと待っててと言って家に入って行った。

しばらくすると麦茶を持って出て来た。


男性「はい。麦茶。遅いからこれ飲んだら気を付けて帰るんだよ〜。」


彼はオレの話もすっかり忘れていたのだった。笑
オレの家はこっから70kmあるんですけど!!


オレ「あの?空気入れは・・・?」


男性「あ。貸してあげようか?」


ってあんた、完全に忘れてますな。笑
オレはもう一度、池袋から70kmの道のりをチャリで走ってきたこと、途中でパンクしたこと、奇声をあげて遊んでたらあなたにそこで出会ったこと・・・を簡潔に話した。

するとごめんごめんと言って、親切にも携帯用の空気入れをくれたのだった。


男性「これでだましだまし空気入れて走れば、なんとか寄居まで15kmいけるんじゃない?頑張ってね、気をつけるんだよ〜。」(さっき10kmって・・・5km増えた。笑)


てなことで、お礼を言ってサラリーマン風の男性とも分かれ、もらった空気入れで1kmごとに空気を入れつつ寄居を目指した。


山の天気は変わりやすいというけど、ここでまさかの雨☆


オレは、心身チャリ共にボロボロになりながら雨の降る山道を走った。というか登った。笑
でも彼との楽しい出会いで心の中は充実していたのだった・・・。


寄居に着く頃にはもうすっかり明るくなっていた。
とりあえずチャリはおいて、その日は電車で85km離れている池袋まで帰った。


そして、この時ほど電車のありがたみを感じたことはなかった。笑


「急行はえぇぇ!!」


おしまい。

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